上記のPOUボディは、標準的な制御ループを示しています。制御入力は、ユーザが設定します(例: 必要な室温22°C)。A/D変換された設定値(SP)は、PID演算命令の1つの入力値として設定されます。測定値(PV) (例: 現在の室温)は、通常、センサなどから、PID演算命令のもう1つの入力値として入力されます。F355_PID命令は、設定値と測定値から、偏差e (エラー値)を演算します(e = 設定値 - 測定値)。与えられたパラメータ(比例ゲインKp、積分時間Tiなど)に従って、新しい出力値(出力値MV)をサンプリング時間Tsごとに算出します。演算結果は、D/A変換され、アクチュエータに出力されます。出力のアナログ変換部は、システムのアクチュエータを示します。
比例部(P部)
比例部は、エラー値に比例した出力を発生させます。比例ゲインKpは、出力値の増減量により決定します。比例部は、単純な電気抵抗やリニアアンプなどです。
比例部は、比較的大きい最大オーバーシュート、長い設定時間、定常偏差を示します。
積分部(I部)
積分部は、積分時間と入力量(入力量のエリア)に応じて、出力量を決定します。積分時間は出力量MViに影響します。積分部は、ボリュームフローで満たされたタンクの計量などに利用することができます。応答時間が遅いため、P要素より大きい最大オーバーシュートを持ちますが、残りの定数エラー値はありません。
例:
偏差e と出力量 MVi の関係
微分部(D部)
微分部は、エラー値の時間微分に応じて、出力量を決定します。微分時間は、微分入力量のウェートに影響します。微分要素は、RCブリーダ(直列接続コンデンサと並列抵抗)などです。
例:
偏差e と出力量 MVd の関係
PIDコントローラ
PIDコントローラは、P要素、I要素、D要素の組み合わせです。Kp、Ti、Tdが最適に調整されると、PIDコントローラは設定値にすばやく到達し、その値を保つことができます。
次の等式は、以下の条件でコントローラ出力MVの演算に使用します。
一般的に、時間周期nの出力値は、前回(n-1)の出力値と今回の出力値の変化から計算されます。
逆動作PI-D 制御 = 16#X000
正動作PI-D 制御 = 16#X001
逆動作I-PD 制御 = 16#X002
正動作I-PD 制御 = 16#X003